2009年11月07日

テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

山形国際ドキュメンタリー映画祭2009
特集「シマ/島―漂流する映画たち」 沖縄移動展
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

日程  :2009年11月14日(土) 18:00開場 18:30開映
場所時間:Zスペース (沖縄市中央1-6-17 3F 胡屋パルミラ通り)
コリンザ横、市営駐車場が22時まで無料。そこから徒歩5分
胡屋バス停より徒歩1分
一般1000円 学生・ワーキングプア500円
問い合わせ: 090-6146-7951(シマーカス)


10月8日-15日に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭2009「シマ/島」特集より、
テレサ・ハッキョン・チャ作品と比嘉千秋作品を沖縄にて特別上映いたします。
「シマ/島」特集は、「シマ」を地政学的な「島」だけでなく、ボーダーラインに立ち孤独でありながらも独自性を持つ空間(スペース)と捉え、千波万波に生きる私たち、作家が創造する営み、そして作品そのものとなぞらえ、生まれ島をすでに追い出され作品を作ることで「シマ」を作っていく、島を持ちえない/持たない作家にも注目し、シマ/島で映画を作るということを考えるプログラムとして、24作品の上映とライブ・パフォーマンスを行いました。
その中から言葉を綴りながら亡命/エグザイルということを意識的に、作品に移し/映し込む多様な作品を遺したテレサ・ハッキョン・チャと、身体表現から映像作品を立ち上げ「私」を取り巻く周辺の視覚化を試みる比嘉千秋の映像作品を取り上げます。
井上まゆもさんによるテレサ・ハッキョン・チャ作品解説トークと比嘉千秋さんを迎えてのトークもあります!

山形国際ドキュメンタリー映画祭website
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プログラム

第一部 18:30-19:30
テレサ・ハッキョン・チャ作品
『シークレット・スピル』1974/ビデオ/30分
『マウス・トゥ・マウス』1975/ビデオ/8分
『ビデオエム』1976/ビデオ/3分
『リ・ディス・アピアリング』1977/ビデオ/3分
解説トーク:井上まゆも(琉球大学教員)

第二部 19:30-20:30
『パーミュテーションズ』1976/ビデオ/10分
比嘉千秋作品
『わたしの存在しているところ』2004/ビデオ/7分
『○○のところ コスモポリタン?!』2005/ビデオ/22分
トーク&質疑応答:比嘉千秋

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■テレサ・ハッキョン・チャ Theresa Hak Kyung Cha
1951年、韓国・プサン生まれ。'63年家族とともに軍政を逃れてハワイに移民。
'64年よりサンフランシスコ在住。
カリフォルニア大学バークレー校で、フランス文学、フランス思想、比較文学、映画理論などを学ぶ。
'74年からパフォーマンスやインスタレーション、フィルムやビデオの制作を始める。'76年にパリへ留学。
'77年、アメリカ合衆国市民権を取得。'79-'80年韓国に帰国旅行。映画『White Dust from Mongolia』撮影開始。
'80年、ニューヨークに転居。映画理論集『映画装置』を編集出版。
'82年、ニューヨークで暴漢に殺害され、その後『ディクテ』(青土社)が刊行される。

■比嘉千秋 Higa Chiaki
1979年、沖縄生まれ。沖縄県立芸術大学大学院修了。
在学中から個展「千秋展」(2000)、グループ展「はちの巣展」(2004)、「wanakio」(2005)
「結店」(2009)などで映像や平面作品を発表。
沖縄映像祭2005にて「私の存在しているところーそしてtouch me」を上映。
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作品解説

『シークレット・スピル』1974/ビデオ/30分
秘密が定義上、その持ち主の隠したいという意図にも関わらず、こぼれるものであるなら、そのこぼれる方はどのように現れるのか。インスタレーション作品を秘密の場とし、そこから何かが視覚、音、触覚として溢れる様子を記録する。チャのパフォーマンス・アートから映画的表現へのシフトを印す作品でもある。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

『マウス・トゥ・マウス』1975/ビデオ/8分
現れとその消滅の結び目を見せる。映像の中では8つの韓国語の母音を発音するが、我々はそれらの母音を沈黙において聞き、世界に別れを告げるなかで見る。シネマとはチャにとって出会いと別れ、見ることとその思い出の交差するような物質的平面であったのではないだろうか。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

『ビデオエム』1976/ビデオ/3分
Videoがラテン語の「私は見る」に由来する言語ならば、本作はビデオ(video)とポエム(poème)、視覚と言語の交差点に位置している。このビデオ・ポエムは完全に見えるイメージを欠くために、内側から空白化(vidé)されているといえる。ポエムはそのようなもう木製の相続者として、立ち上がってくる。本作のなかでは1つの感覚はもうひとつの感覚の義足であり、見る者は複数の感覚、芸術、身体の間のささやかな絆を引き継いでいく。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

『リ・ディス・アピアリング』1977/ビデオ/3分
一杯の茶のイメージを提示するが、それは飲む者、さらにはその映像を見るものを眠りへと誘う。観客はそうして記憶のかけらが現れてくる場所である無意識へとアクセスする。それはまるで海の上に浮く出会うことのない船たちのイメージが現れては、「再び消える(re-disapear)」する様子のようである。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

『パーミュテーションズ』1976/ビデオ/10分
妹ベルナディットの顔を映す6つのショットを異なる配列で布置する。作品が体現する時間は物語的連続としてではなく、特異でありながらも複製であるイメージとイメージの切れ目において現れる。チャ自身の顔が突然挿入されることによって、深い愛情を注ぎながらも、根本的に他者である妹を撮ることと、自伝的作者自身との交差を表すのかもしれない。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

『わたしの存在しているところ』2004/ビデオ/7分
『○○のところ コスモポリタン?!』2005/ビデオ/22分
誰もがぶつかる「私」という存在の不確かさらしさと確からしさの狭間。日常生活における人間関係、社会、家族といった「私」を取り巻く周辺の視覚化を試み、そこから浮かび上がる私の輪郭をなぞろう2作。錘(おもり)や鎖、それに抗うかけがえのない結びつきの描写は、沖縄という地の空気もしっかりと吸い込み吐き出しながら、精魂込めて「私」に向き合う姿を映し出す。
テレサ・ハッキョン・チャ×比嘉千秋 映像上映会

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主催:シマーカスcimarcus
共催:NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭
協力:Electtronic Arts Intermix、比嘉千秋

シマーカス・プロジェクト第一弾
(シマーカス:映像作品、現代アートを中心に、なかなか見ることのできない作品群の展示、上映を移動サーカスのように沖縄のところどころで展開していくアート・プロデュース・ユニット)


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